幸せにする刺客、幸せになる資格
『本当は、手伝ってくれることが嬉しかったんだ。なのに、冷たい態度を取るなんて、まるで小学生の子供みたいで・・・好きな子に、わざと意地悪するみたいな』

そう言って小さく笑った。

「ノリ、さん」
『僕は、父親としてもどうかと思うけど、それ以上に、男として、何も磨かれていない。それでも、すごくおこがましいかも知れないけど、亜香里さんを1人の女性として・・・』

ノリさんは私を真っすぐ見た。

『好きです』
「ノリさん・・・」

ノリさんはストレートな言葉で私に告白した。
でもそんな捻りのない言葉と真剣なまなざしこそが、私の心を射抜いた。

『亜香里さんの笑顔は、僕に元気を与えてくれます。そして大和を愛しむ表情は、僕に母性を感じさせてくれます。さらに、りんご園の手伝いを必死にやってくれている姿は、僕の先々の不安を取り除いてくれます。でも・・・』

そう言うと、ノリさんは私の両肩に手を置いた。

『でもそれらは、亜香里さんに関わる人みんなが感じることだと思うんです。だから僕はそれ以上に、僕しか知り得ない亜香里さんを知りたい。出会った頃から、僕は勝手な独占欲があったんです』

私から目線を逸らさないで言うノリさんに、私も答えた。
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