幸せにする刺客、幸せになる資格
『あ、亜香里ちゃんだ』
「こんにちは、大和くん」
『亜香里ちゃん、具合悪いんでしょ?大丈夫?』
「え?」

ふと、ノリを見たら、私に向かってウインクされた。
なるほど。

「うん。焼きプリンが上手く出来たから大和くんにと思って届けたんだけど大和くんいなかったじゃない?だから置いて帰ろうと思ったら、頭が痛くなっちゃってしばらく寝かせてもらっていたの。ごめんね、心配かけて」
『ううん。プリン食べたい!』
『ダメ。夕飯食べられなくなるだろ?』
『えー?』

こんな言葉を聞くと、ノリってお父さんなんだな、と思う。

大和くんには軽く嘘をついてしまったけど、やっぱり8歳の男の子に本当のことは言えないよね・・・

"夕飯、3人で食べよう"とノリが寄せ鍋を準備してくれた。

食卓を囲む姿を客観的に見て、私は勝手に未来を想像していた。
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