幸せにする刺客、幸せになる資格
『今日は、私の誕生日でもあるんです』
「偶然ですか?この日と言うのは」
『そうみたいです』

特別なこの日が、玲奈さんの誕生日なのは、何かの縁だろうか。

『亜香里さんのお誕生日っていつなんですか?』
「10月30日です」

私の言葉に"うそ!"と反応した健吾さん。

『お前は当然知っていたわけだよな』
『うん。でもあえて亜香里には言わないでいたけど』
「何のことですか?」

私の誕生日に何かあるのかな。
その疑問には健吾さんが答えてくれた。

『その日は、紅葉の誕生日なんだよ』
「え?」

私と玲奈さんは同時に驚いた。
確かに"紅葉"の季節の頃だ・・・けど、こんな偶然ってあるのかな。

『きっと、玲奈にしろ亜香里さんにしろ、どこかで紅葉が見ていて、幸せになるための刺客として2人を俺達のところに送り込んできたようなそんな運命を俺は感じたよ、今』

ノリが自分の親に向かって私のことを"幸せにするための刺客"だと言ったのは、私の誕生日が紅葉さんと同じであることに運命を感じていたからなんだ。

健吾さんも同じ言葉で運命を形容した。

ノリはきっと、私に気を使って言わないでいたのだろうから、あえてそこを責めるつもりはない。
むしろ、紅葉さんと共通点があることが、私には嬉しかった。
< 80 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop