幸せにする刺客、幸せになる資格
『去年は俺が通っている大学院の関係で行けなくて』

家に帰ってきて、健吾さんと玲奈さんにお茶を出しながら、健吾さんはそう言ってソファーに座った。

『東都大を卒業して、お前はまだ勉強するつもり?』

聞けば、健吾さんは経営学修士を取得するため夜間大学院に通っているという。

夜間と言っても夜に授業を受け、土日にその予習やテスト勉強をしなければならないので結構大変だ。

「龍成社の次期社長も、大変ですね」
『まぁ、経営も出版業界も全くの素人ですから』
『コイツ、最初は学校の先生だったんだよ』
「そうなんですか?」

健吾さんの夢は学校の先生。
そして夢を叶え、小学校の先生を2年、高校の先生を1年経験した。

玲奈さんはその高校教師をしていたナルガクでの教え子だと言う。

玲奈さんは、もしクラスにいたら、私でも惚れる。
超絶可愛い美少女だ。

そのくせ東都大でしょ?
"天は二物を与えず"じゃないの?
玲奈さんにはいくつも与えられてるよ。

『で、その夢を叶えた後の戦利品が玲奈ちゃんだったというわけだね』

そう言ってノリは健吾さんをからかうように笑った。

『おい、人の妻を物扱いするなよ』
『図星図星』
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