幸せにする刺客、幸せになる資格
やっぱり、古い友人は大事だ。
親に勘当されようとも、こういう友達や、紗英さんという妹とは繋がっていることが必要だと思う。

だって、その人たちと会話している時のノリって、すごく楽しそうだし、何とも言えない人間らしい表情だから。

健吾さんたちが帰った後、私達はすぐ裏に住んでいる蜂矢のお爺ちゃんお婆ちゃんに入籍の報告をした。

ふたりとも心から喜び、お婆ちゃんは目頭をハンカチで押さえて泣いていた。

多分、最初のころのノリの苦労を近くで見ていたからだろう。

ここのところ、お爺ちゃんの体調がすぐれないため、摘果には参加できそうにないと言う。

「大丈夫かな、お爺ちゃん」
『まぁ、爺ちゃんも82だからね。どこかにガタは来るだろうな』

私達は車で移動中、そんな心配をしていた。
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