幸せにする刺客、幸せになる資格
健吾にお歳暮代わりにジュースとシードルを贈ったら、お礼の電話が来た。

玲奈ちゃんが妊娠したらしい。
出産予定は来年4月。

実は軽井沢での僕達の結婚式の時の雑談で、健吾達はしきりに子供を欲しがっていた。
姉の子供を預かる機会があり、それに刺激を受けたと。

でも玲奈ちゃんはまだ大学生だけど、大丈夫なのかなぁ。

そしてあの2人のことだ。
きっと超美少年か美少女の子供が生まれて来るであろう。

それに引き換え、うちは・・・亜香里との間にはまだその予定はない。

夫婦生活は、ある。
それもかなり頻繁に。

でも、出来ることは、このままでは恐らくない。
なぜなら、入籍当日を除いては、全て避妊をしているから。

クリスマスイブ。
いつものように夜、大和が寝静まった後、亜香里と愛し合おうとベッドで組み敷こうとしたら、"クリスマスプレゼントが欲しい"と突然言われた。

「何が欲しいの?」
『・・・ノリの赤ちゃんが欲しい』

亜香里の言葉に、僕は固まった。

『ノリと私がこうしているのは、愛し合っているわけでしょ?それが形になって欲しいなって思うの。でもきっと、ノリは紅葉さんのことがあるから、怖いんでしょ?出産というものが』

亜香里の言う通りだった。
紅葉のようなことが亜香里に起こったら、僕はもう立ち直れない。
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