恋輪(RENRIN)
いつのまにか寝っちゃったみたいで、

ぼんやり眼を覚ますと、

視界に入った着信ランプが点滅している。

そろそろと手を伸ばすと、

着信音が亨ちゃんだと知らせる。

オルゴールの乙女の祈りは

止まることなく


鳴り続け、

バイブ昨日のおかげでがブブブブおもちゃのように動き始める

「もしもし」

意を決して出ると、

亨ちゃんの心配そうな声。

----絢音?

 どうかした?

 お前が遅れるなんて珍しいから心配してる。

 忘れてるのか?


「ごめん体調悪いみたい。

 今日はいけないの。」


---そうか、

 しょうがないな。


 じゃ、また今度な。


 後でまた連絡する。



あああ、うそついちゃった、

携帯の電源を落としながら、

もう一度布団にもぐりこむ。

いっそホントに病気になったら良かった。


精神的に落ち込んで、いらいらする。

思い描いたようには簡単にはならないって分かってるけど。

でも、それがどうにもならない状態だなんて、

知りたくもないし、思いたくもない。

暑くてむわむわする布団にくるまって現実逃避を決め込んだ
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