赤い流れ星3
「……野々村さん、何かちょっと食べたらどうじゃな?
どれ……わしも、もう一度甘い物でも食べるかな。
そういえば、ひかりがすすめとったケーキがあったな。
でも、ビールのあてにケーキはいかんかのう……」

無視した……
KEN-Gさんは私の質問を完全に無視して、大きなメニューで顔を隠すようにしてまるで独り言みたいなことを呟かれた……



「そうですね。
おいくつなのかは賢者さんに訊くよりも、作者であるひかりさんにお訊きした方が早いですよね。
電話して訊いてみます。」

な、な、なんてことを……!
普段の私なら、こんなことは絶対に言わない。言えるもんですか!
酔ったら別人格になる人がいるのは知ってるけど、きっとそれは普段は隠されてる性格なんだと思ってた。
……じゃあ、私には本当はこんなに強気で意地の悪い性格もあったってことなのかしら…
心の中で葛藤しながら、私はバッグに手を伸ばす。



「ま、待ちなさい。」

良かった…
本当は電話する気なんてないんだもの。
停めてもらえて良かった。



「ひ、ひかりさんに訊かれちゃまずいんですか!?」

わ……まだそんなことを言うのか、私の口は…



「ご……」
「そうではない。
ひかりは、そこまでの設定はしていない。
賢者は相当な年寄りだという漠然とした設定しかないから、聞いても無駄なんじゃ。」




「…………え?」



ようやく理性が元気を取り戻して来たかと思われた時…
KEN-Gさんが同時に口を開き……そして、とんでもない事を言われた。



「あ……あの……KEN-Gさん、今、なんと…!?」

あまりにショックが大きかったせいか、急に意識が明確になった気がした。




「……野々村さんよ…おまえさん、一体、何を知っとるんじゃ!?」

「そ……それは……」

「……場所を変えてじっくりと話さんか?
そうじゃな……わしの家はどうじゃ?」




(……え?)



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