赤い流れ星3
ど…どうしよう!?
えらいことになってしまった。
でも、これは大きなチャンスでもある。
だって、今のKEN-Gさんの発言は賢者さんだってことを認めたようなものだもの。
危険かしら?
私が、そのことを知ってるとわかったら……もしかして、け、消される…?
い、いえ、いくらなんでもドラマじゃあるまいし、そんなことないわ。
だけど、KEN-Gさんのお宅っていうのは危ないかしら?違う所を指定した方が良い?
常に人のいるお店とか……
……だけど、余計なことを言って、それでKEN-Gさんのお気持ちが変わったら……

だめだわ!このチャンスは逃せない!
どうしても確かめなきゃいけないのよ…!
……たとえどんな危険があったとしても、この機会を逃したらもう真実は訊けないかもしれないんだから…行くしかない!



「わかりました。
では、そのように……」

口から飛び出しそうになってる心臓の鼓動を悟られないように、私は無理に落ち着いて答えた。







「こんな時間に非常識なことはわかっとるが…
この話は誰にも邪魔されず、じっくり話したいと思うてな。」

「は、はい…
私もです。」

タクシーの中でもほとんど話すことなく、張り詰めた空気が漂っていた。
しかも、私もあの言葉を聞いて以来、すっかり酔いが覚めて…
まだ、少し頭がふらふらとはするけど、意識はほぼいつもの私に戻ってると思う。
そうなると、どんどん不安になって来て…
大丈夫なのかしら…
私は、ちゃんと訊きたいことが訊けるだろうか…

リビングに通されて、とても香りの良い上等なお茶をいただいて少し落ち着いたけど…でも、やっぱり緊張はほぐれない。



「おまえさん…以前もわしにかまをかけた事があったな。
ひかりのことを聞き出そうとした……」

声は穏やかだったけど、KEN-Gさんは明らかにいつもとは違う。
なんというのか…威厳のようなものが感じられた。



「気付いてらっしゃったんですか…」

「マッキーになぞらえて『賢者』のことも言うとったな…」



やっぱり、KEN-Gさんは気付いていながら、わざとはぐらかされてたんだ…



「それに…昨日、シュウの名前を聞いた途端、おまえさんは大きな声を上げてたいそう驚いた。
じゃが、さっきの話ぶりでは、おまえさんはひかりの小説を読んだことがないそうではないか。
読んだ事もないのに、シュウの名前を知ってたのはなぜなんじゃ?」

「そ…それは……」



どうしよう…!?
すべてをぶちまけて良いのかしら?
でも、言ってしまったら、もしかしたら予想もつかないような大変なことになってしまうかもしれない…
私はどう答えれば良いのかわからず、返す言葉に詰まった。
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