赤い流れ星3
そんなことを考えた時に、頭に浮かんだのはアンリの顔だった。
俺も本当に自分勝手な男だ。
こういう時にばかり、あいつのことを思い出してしまう。
そういえば、二人で飲みに行って酔い潰れてしまってから、彼女には連絡らしい連絡もしていなかった。



(あの時のお詫びも兼ねて、なにかプレゼントでもして……)



アンリに特別な感情があるわけではなかった。
だけど、今のこの状況では、あいつが一番……



そうだ……一番身近で手っ取り早く、そして楽な存在だと考えてる自分自身に気付き、俺はアンリにとてもすまない気持ちを感じた。



(……最低だな……)



なんとも言えない嫌悪感……
今の俺は一体どんな顔をしているんだろう?



そう思った時、俺のスマホがメールの着信を伝えた。



「カズ、メールだよ。」

「……わかってる。」



開いたメールは、高見沢大輔からのものだった。
そこには、近々、みんなで一緒に飲まないかと書いてあった。



「高見沢大輔から飲み会のお誘いだ。」

「わぁお!彼は本当に積極的だね!」

アッシュが片目を瞑り、俺をひやかす。



「馬鹿。
みんなで飲まないかって誘いだよ。」

「そうなの!?
それは楽しそうだね!
いつ?どこで?」

「まだそんなことは何も決まってない。」

「えっ?そうなの?
カズ、ちょっと貸してよ!」

アッシュは俺の手元からスマホを奪い取り、慣れた手付きで指を動かし始めた。
どうやら、高見沢大輔にメールを返信しているようだ。
それにしても、アッシュの指使いは高速だ。
俺も、携帯ならそれなりに早く打てるが、タッチパネルの文字入力はどうも苦手だ。



「美幸ちゃん、タカミーがカズの大ファンだって知ってた?」

「え?」

「マイケル…つまらないことを言うな。」

マイケルは小さく肩をすくめて微笑み、美幸はぽかんとした顔をしていた。



「もしかしたら、カズも禁断の世界に目覚めて、タカミーは美幸ちゃんのお姉さんになるかもしれないね。」

「マイケル…!」

マイケルの冗談に、美幸の顔はさらに混乱した顔つきに変わっていった。
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