【短編】愛して欲しい。
「はぁ~」
自然と漏れた溜息に
「で、どうしたわけ?」
ニヤニヤと笑う水城が俺の顔を覗き込んだ。
「……何でもねぇよ」
一瞬、水城に言うか。
そう悩んだけど、やっぱ止めた。
どうせ馬鹿にされるに決まってる。
お前、いくつだよ。そう言って笑われるのがオチだ。
「何でもないって感じじゃねーじゃん。誰かに言えば、ちょっとは抜け道あるかもよ?」
「…………やっぱ、やめとく」
「はぁ!? お前、そこまで溜めといてソレはなしだろ~」
もう一回、真剣に相談するか悩み。
やっぱり止める俺に、水城が食ってかかる。
「だって、お前絶対馬鹿にするじゃん!」
「言ってみなきゃわかんねーだろ!」
「いいや、絶対馬鹿にする!」
「しないかもしんないだろ!」
「する!」
「しねぇって!」
くだらない言い合いをして、ふと我に返った俺達は笑った。
何、くだらない事を言い合ってんだか。
「お前がムキになってんの久々に見たかも」
水城が笑って言うから、俺も頷いた。