Only

走って再び教室に戻ると、外も薄暗くなってきていて、

帰る準備をしてる生徒もちらほら見えた。

輝を探す。

…けど、どこにもいない。


ちくしょー……

帰ったのかよ……

でも、ここで負けるか。

自分の荷物を鞄の中に突っ込んで、急いで教室を出ていく。


走って校門を出ると大地とばったり会った。

今日は部活。

多分、校外3周のメニューを終えたんだろう。

大地の額にはうっすらと汗が滲んでいる。

「え、光、帰んのか??」

「おう。急いでるから、じゃあな」

そう言って、大地の横を通りすぎようとした。


その瞬間、捕まれる手首。


「輝んとこには、行くなよ?」


大地は鋭い目で、そう言った。


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