Only


「ただいまー」

「おかえり。遅かったね?」

お母さんが夕飯の支度をしてる。

…カレーのいい匂いがして、思わずお腹が鳴る。

「うん。学校祭の準備で、ちょっとね。お母さん、何か手伝おうか?」

「そう?じゃあポテトサラダ作ってくれる?その前に、手洗ってね」

「はーい」


制服のまま、お母さんの隣でポテトサラダを作る。

最近はバタバタしてあまり手伝いはしてなかったけど、

前はこうやってお母さんと一緒に夕飯の支度をしてたから、料理は結構得意。

ジャガイモを潰して、マヨネーズで和える。

すると、お母さんが手を止めて、話をし始めた。


「そうだ、輝。来週、宮本さんと息子さんとで、食事でも行かない?宮本さんが輝さんにも聞いてみて、って」

「食事…?」

…それって…

顔合わせ、って事だよね?

「宮本さんが、レストランに予約入れてくれるって。…行きたくない?」

行きたくは、ない。

でも…

「ううん、行きたい!兄弟になる人と、会うんだよ…ね?」

「そう。同い年だけどね。じゃあ、宮本さんに連絡するね?」

「うん、分かった」


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