Only
その様子を、光が横目でチラッと見てた…気がした。
連れてかれたのは、体育館倉庫。
この時間は屋台準備で、みんな教室か、外にいる。
誰もいない体育館倉庫で、大地が大きくため息をついた。
「…大丈夫か?」
心配そうな、切なそうな顔をする大地。
「うん、大丈夫だよ?」
ふと、昨日寝る前に考えた事を再び考えた。
…もし、大地を選ぶ事を決めたら…
あたし、すごくズルい人になる。
でも………
暗闇に、明かりが灯る。
嘘をついて大丈夫だと言い張るあたしに、大地は何か考え事をして。
「ごめん、もう限界」
聞こえるか分からないほど小さな声でそう呟いた。
唇に柔らかい感触。
あたしの左手は大地の右手の中。
頭が…真っ白に染まる…
唇を離した大地は、あたしの肩を両手で掴んで。
「…俺を選んでよ。もう、アイツの事で泣かないで…ほしい」
かすかに、そう囁いた。
…あたしは。
この人を信じたら。
これ以上傷付かないんだろう。
そう思った。
「大地………あたし、ね」
この人なら。
もう一度………