Only

家族


学校祭から1週間。

大イベントも終わり、そろそろ夏休みシーズンが訪れる中で。

あたしはお母さんの車で、家から30分ほどの高級レストランへと向かっていた。


…今日は、宮本さんとの顔合わせ。

昨日の夜、光と会った時に何て言えばいいか、何度もシミュレーションしてみたけど、

未だにどう話していいか、分からないまま。

…どうしよう。


「輝、あと5分もしたら着くよ、起きて」

「うーん……」

助手席で寝たフリをしてるあたしに、声をかけるお母さん。

…いよいよ、か。

この日のために、お母さんが買ってくれたワンピースの裾を、ぎゅっと握る。

グレーの清楚なワンピース。

…あたし最近、ワンピースばっかり着てる…ような。


着る度に、思い出す光の、笑顔。

…重症だ。


レストランに着いて、中に入ると。
奥の方の席に、男性2人が座っているのがみえた。

光と、お義父さんだ。

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