Only
「お、来たね。どうぞ、座って」
席に座るよう促すお義父さん。
「待たせてごめんなさい。…光君ね?飯尾愛っていいます。よろしくね」
お母さんが席に座りながら、光にあいさつした。
「光です。よろしくお願いします」
光がそう言ってお母さんにあいさつをし終えると。
あたしと目を合わせて、言った。
「学校は一緒だけど一応挨拶します。宮本光です。よろしく」
心が。
切り刻まれたような気がした。
…こうなるのが、当たり前なんだけど。
分かっていたけど。
…辛い。
「…輝?」
お母さんが、何も言わずに立ったままのあたしを不思議そうに見上げる。
「…あ、ごめんなさい。飯尾輝です。こちらこそ、よろしく」
慌ててそう言って、お母さんの隣に座る。
…しっかりしなきゃ。
目の前には、光。