Only

「光ー、俺とストレッチのペア組んでくれよー！大地がいじめるー！」

「子供かよ、お前は」

子犬のようにすり寄ってくる仁の顔を片手でストップをかける。

「うわ、酷いぜ光君」

「わーったよ、ストレッチすりゃいいんだろ？」

「うっしゃ！！」


開脚ストレッチをしている時。

仁が周りを気にするように小さな声で
話し掛けてきた。

「なあ光」

「あ？」

「…お前まだ輝ちゃんの事が好きなんだろ？」

「…」

図星を突かれて何も言えない。

「図星だな。お前分かりやす過ぎ」

「…悪かったな、分かりやすくて」

「まあ、好きなのはいいけど、あんま輝ちゃんを困らせんなよ」

「困らせる？」


確かに困らせていないといえば嘘になる。

アイツには、いつも強引に俺の意見を通させてしまってるし、自分勝手すぎるのは分かってるけど。

仁は何を言いたいんだ？

「俺、聞いちまったんだ」