Only

コンコンッ。

…返事が無い。

「入るぞ」


ドアを開けると。

ベッドで寝る輝の姿。と、

「大地…?」

ベッドの横の椅子に座って、輝の手を握りながらうたた寝する大地がいた。

「…光」

俺の声で目が覚めたのか、大地は目を擦りながら言った。

「…大地お前、何してる?」

「何って、何もしてないけど?」


駄目だ。

もう俺の嫉妬心は抑えが効かない。

「手なんか握ってんじゃねえよ」

「…ああ、これ?何、手握ってる事に怒ってんの?」

嫌味っぽく、輝の手を握る強さを強めた。

「離せよ」

「何で?俺ら付き合って…」

「離せって!!」

見てらんねえ。

コイツは、俺のもんだから…

「静かにしろよ…輝が起きるだろ?」

大地が輝の手を離して、こっちに近付いてきた。


< 255 / 308 >

この作品をシェア

pagetop