Only

寝ている輝の手を強く握り締めて。

輝への想いも、涙も止まらなかった。


…それでも。

泣かせる事しかできないなら…

俺はもう…


「……光…?」

顔を上げると、輝が不思議そうに俺を見てた。

「輝…」

「な…っ、どうしたの?光、大丈夫??」

心配そうに、ハンカチを差し出してくれる輝。

「何かあったの?」


そう訊いてきた輝の腕を引き寄せて、強く抱き締めた。


…悪い、大地。

やっぱ無理だわ。

諦めるなんてできねぇよ。


そして……

お前が与えてくれたチャンスを、

握り締めて。

「ちょっと……光?何が…」

「今までごめん」

「…え?」


本当、ごめんな。

今更だけど。

届け、俺の…想い。

「兄弟だとかそんなのどーでもいい。もう我慢の限界。俺…」


「やっぱ誰よりもお前が好きなんだわ」


< 258 / 308 >

この作品をシェア

pagetop