Only


始業式で周りを見渡すと、前期終業式よりも、みんな肌の色が少し黒い。

校長先生が何か話してはいるけど、聞いてる人はほとんどいなくて。

立ったまま目をつぶってる強者もちらほら。

あたしは、この後の放課後の事を考える事に一生懸命。


……何を話されるんだろ。

光と別れる事を一応は承諾してるんだから、光は渡さないって話は無いと思うけど…

まさか、お母義様も一緒とか?

光に『大丈夫』って言ったものの、やっぱり少し心配。


「輝ー?どしたの、暗い顔して」

始業式が終わって。

教室に戻る途中で、あやりに呼び止められた。

よほど深刻な顔をしていたのか、
心配そうにあたしの顔を覗き込むあやり。

「へっ?…ううん、大丈夫」

「大丈夫じゃないね、何があった?話しなさいっ!」

「いてっ、ちょっとあやり痛い…」

両手で頬をつままれて、横に引っ張られる。

「ほら、白状なさい」

「うう…」


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