Only

「ありがとう、輝。私の幸せを一番に考えてくれたわね。…でもこれからは光君との幸せを一番に考えるのよ?」

濡れた瞳で、お母さんがあたしに言う。

「光と…って、お母さんは大袈裟なんだから…」

「あら、光君言ってたよ?」

呆れるあたしにお母さんは続ける。

「こないだ、ドレスの試着の時にね。
私のより少しサイズが小さいドレスを見てたのよ。それで
『輝のを探してるの?』って訊いたら
『…4年後のために』って」

な……

アイツ、何もお母さんに言わなくても。

…少し、嬉しいけど…

「まあ、これからいろんな事があるけれど。いつまでも、私の娘だからね?」

「うん…大好きだよ、お母さん」


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