理想の都世知歩さんは、
「――――そう言ってほしかった」
暫くして、ぽつりと零された言葉。
これがヒーローみたいな都世地歩さんの弱さだとしたら。
私はこれを一番大事にしたいと思った。
「都世地歩さんみたいなお兄ちゃん、いいなぁ」
「え、うそ」
「ほんと。…でも、そうじゃなくてよかった」
きっと今頃、冷たい冬の空には綺麗な星が浮かんでいて。
今宵もまた、誰かがその星に願って、救われている。
「…何で?」
「……。何でも、です」
私は目を瞑っていて、都世地歩さんは瞑っていなかったかもしれないけど、彼がふと笑った音がした。
よかった。
本当に。
そうしたら、上から「好きだよ」って音もしたような気がして、思わず顔を上げた。
暗闇であまり見えない都世地歩さんは、外の明かりに照らされて。
私の眸を見て、ふわりと微笑んだ。
私にはその音が本物だったかどうかはわからなかった。