理想の都世知歩さんは、
しかし、ドアを開けた先には誰の姿もなかった。
ただ夜の暗闇が広がっているだけだ。
「……?」
間抜けて、もしかしたら寝惚けたのかと思って。
ドアを閉めようとした。
「一人だね」
「――っ」
閉めかけたドアを遮った手がドアを無理矢理開けさせ、そこに割り込む知らない人。
突然真横――暗闇から姿を現した。
誰…?
見ず知らずの男性が口元を曲げてすぐそこに立っていた。
一瞬呼吸が停止した後、襲ってくるのは、背筋を這う冷たい汗。
心拍数がドッと上がって呼吸がおかしくなる。
「ねぇ」
真っ黒な帽子を深く被って目元も見えない男性が呼び掛けた。
ドアノブとスマホを握ったままの手に、力が入らない。
「聞こえてるよね」
足が竦む。