理想の都世知歩さんは、
三日振りの、声がした。
見えない、同じ暗闇から聞こえた。
理由なく。
全身の力が抜ける、“知っている”声の後瞬時に、目前で何かを呟いた男性にドアノブを握っていた手首を掴まれ――――私の目は短い悲鳴と共にきつく瞑られる。
途端、骨がぶつかり合うような鈍い音が廊下に響いた。
「衵」
名前を呼ばれて目を開けると警察呼べ、と鋭い声が飛ぶ。
なのに、震えた指が動かない。
「――――――大丈夫」
『大丈夫』
頭の中に、その音だけが響いて通る。
呻き声を上げる男性を前面から壁に押さえる…都世知歩さんは笑みさえ見せ、私は口を引き結び、必死になって指を動かす。
だめかと、思った。