初恋は雪に包まれて


静寂だ。

大通りに出れば一気に賑やかな雰囲気包まれるはずなのに、少し奥に入っただけでこんなにも静かになる。


「真面目なところ。」

「え?」

「仕事中、患者に何言われてもずっと笑顔だったり、例え裏にいる時でさえ絶対に患者のことを悪く言ったりしないだろ。」


患者様を悪く言わない……

そうかな、自分ではあまり気にしたことがなかったけれど、あぁ確かに休憩中に先輩たちが患者様の愚痴をこぼしていたときは、あまりいい気がしなかった。



「子供やお年寄りに優しいところとか、普段は弱音を吐かないくせに酔うと少しだけ弱気になるところとか、

笑うと右にだけ見える八重歯もかわいいと思う。」

「やえば……」

「もう、言い出したらキリが……」

「ま、まって!」


つい大声を出してしまった。だって、あの伊東くんが私の好きなところを淡々と話しているのだ。

――告白ってこんなに恥ずかしいものなの!



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