初恋は雪に包まれて


「伊東、くん……急に、なに……」

「別に。」

「べ、別にって!私これから田嶋くんのDVDを見る予定だったのに!」

楽しみにしてたのに!

そんな不満を思いきり顔に出して、彼を見上げる。

けれど彼にはそんな思いが伝わることはなかったようだ。それどころか私よりも少し怒っているようのも見えた 。



「もう、あのDVDすごく楽しみにしてたのに……」

「……。」

「どうして、あんなことしたの!」

23歳にして、こんな子供みたいな態度はどうかと思う。けれど小山くんがどうしてこんなことをするのか、全くわらなかったのだ。




少しの沈黙があった。

そして彼は思い立ったように、口を開いた。


「小山のことが好きだからだろうが。」



そして、冒頭に至るのである。








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