月光-ゲッコウ-
ホテルの部屋に着いてからも、社長に抱かれ続けた。


あたしをしっかりと抱きしめ、自分の手から逃れられない様に…


意識が朦朧とし、ぐったりとベッドに横たわるあたしの上に覆い被さる。



「千歳。私には娘しかいない。私の子を生め。おまえの子が男なれば、会社を継がせる。そしておまえは一生私の傍にいるんだ。」

何を言ってるの?


ここにいるのは、小田切社長ですか?



あたしは、社長の数いる愛人の中の1人だよね?


子を生めって何?


あたしはそういうの求めてない…

自然と涙が流れる。


酔ってるからそう言ってるんですよね?


あたしはこの先捨てられる予定の、愛人ですよね?



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