月光-ゲッコウ-
ミッドタウンをフラフラとしてみたけれど、特に欲しいモノもなく、気がつけば約束の時間がもうすぐだった。
ミッドタウンを出た時、ちょうど加雁さんからメールが来た。
特に待ち合わせ場所も決まってなかったから、ミッドタウンに入った時にミッドタウンにいるとメールで送っといた。
〔なんでスーツなの?〕
え?
どこかにいるの?
キョロキョロと回りを見渡すけれど、見当たらない。
もう1度携帯が鳴る。
加雁さんからだ。
〔目の前の白のベンツ〕
携帯から目をはなして、前を見ると、停まってる車の窓が開いた。
窓から加雁さんが顔を覗かせる。
とりあえず車の方に行くと、加雁さんが出て来た。
「お待たせしました。どうぞ。」
『目の前にいるのに、いきなりあんなメール送ってこないで下さいよ!始めから場所教えてくださいっ!』
キョロキョロしてる姿を見られてたかと思うと、あいさつもせずに、思わず叫んでしまった。
加雁さんはそんなあたしに、クスクスと笑って車に誘導した。
「笑ってすみません。バカにしてる訳じゃないんですよ。」
そう言いながらもクスクスと笑っている。
完全にバカにされてる気分。
少しムスっとしてると、ヒザの上に何かをおかれた。
みると綺麗に包装されたモノだった。