月光-ゲッコウ-
食事をして、買い物をして、あっという間に夜になっていた。
【pearl moon】へと移動をする。
「今日は千歳との始まりの記念日だ。」
少年の様に笑うと、スイートルームの扉を開いた。
【white moon】と同じ最上階の唯一1つある部屋。
わぁ…ここも月が近い。
「この部屋は、千歳の為に作った。誰も泊まらせた事がない。特別ルームだ。」
あたしの為に…?
うれしい…。
涙が出た。
それは嬉しくも悲しい涙だった。
十分過ぎる程の愛が伝わる。
本当に
本当に
この人に
出会えて良かった…
涙を流すあたしを加雁さんは抱き締めた。
「嬉し泣きか?
これからはもっと嬉し泣きさせてやるよ。」
そう言うと、キスをした。