月光-ゲッコウ-
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寝息をたてて隣で眠る加雁さんを見つめる。
こんなに愛しく…思う人は、もうこの先現れる事はない。
あたしはこの人を一生愛するだろう。
こんなあたしでごめんね。
また涙が溢れだす。
あたしは加雁さんに、妊娠してる事を言っていなぃ。
言えなかったんじゃない。
言わなかった。
「…ごめんなさい…。」
寝てる加雁さんに小さな声で言った。
あたしはあなたの前からいなくなります。
それが、あたしが考えて決めた事。
社長とも、あなたとも、一緒にいる事は出来ない。
父親が違う子供をあなたに背負わせる事は出来ない。
ましてや、社長の子供。
でも、あたしはあなたをずっと愛してます。
離れていても、心はあなたの元に…。
加雁さんが起きない様に、部屋を出る準備をする。
涙が止まらなかった。
声を出さない様にしないと…
加雁さんが起きてしまう。
荷物をもつと、加雁さんのいるベッドへといく。
寝てる加雁さんに、そっとキスをする。
「…ずっと…愛してます…」
枕元に、社長と同じ様に手紙をおく。
溢れてくる感情が隠しきれなくなってしまう前に部屋を出た。
あなたという月に出会えて
あたしは幸せでした…
最後にあなたに会えて良かった。
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