月光-ゲッコウ-
加雁さんへ
こんな手紙残して、あなたの元から去るのを許してください。
あなたとずっと一緒にいる事を何度も願い…夢みました。
そして今も思っています。
けれど、一緒にいる事は出来ません。
あたしのお腹には社長の子供がいます。
あたしが離れない様にと、社長の計画によって妊娠しました。
世間からすれば、不倫のすえ出来た子供です。
初めは頭の中が真っ白になりました。
けれど父親が誰であれ、あたしの子供なのです。
まだ小さな命だけれど、愛しく思うのです。
生むと決めました。
社長の元へは行きません。
社長には本当にお別れしました。
最後まで迷ったのが、加雁さん…あなたです。
始めに書いた通り、あなたとは一緒にいたい。
そう思う気持ちは大きかった。
でもね、加雁さん。
愛してるからこそ
あなたにその重さを背負わす事は出来ない。