月光-ゲッコウ-
後ろから掛けられた声に、振り向けずにいた。
だって
だってこの声は…
「…なんだ?シカトか?千歳…。」
う…そでしょ?
ゆっくり振り向くと、そこにはもう2度と会うことないと思っていた人がいた。
『か…がりさん…どうして…』
上手く言葉が出ない。
どうしてここに、加雁さんがいるの?
加雁さんはあたしと月に近寄ると、あたしの腕にいた月をひょいっと持ち上げた。
「麻生さんから千歳の場所聞き出すの、3年もかかったよ。まぁ、前にも3年おまえを探した。何年たとうが、俺はおまえを愛してるし、死ぬ気で探してやるよ?」
加雁さん…
今まで溜めてた涙が一気に溢れ出した様に、涙が溢れる。
そんなあたしを加雁さんは月と一緒に抱き締めた。
「ママどうして泣いてるの?このおじちゃんにいじめられたの?」
キョトンとした月が言った。
『月ァッ…この人はね…』
あたしが言おうとすると、加雁さんの声にさえぎられた。
「おじちゃんじゃねぇよ!パーパ!」
ぱ…ぱ…?