【短編・番外編】恋の罠〜恋を見つけた時〜


「うーん…ないな。

朱莉がいじめ止めようと無茶するのなんか1回や2回じゃねぇしなぁ…

それを止めてオレが代わりに止めに入ったのももう10回以上あるし」


どんなに考えても、小川を助けたことなんて思いだせなくて…

オレは諦めたようにカツ丼に視線を戻した。

すっかり見慣れてしまったカツ丼。

上に乗ってるグリーンピースが苦手なんだけどな…


オレの横で、同じくカツ丼を食べる充のどんぶりに3つのグリーンピースをこっそり移す。

…気付かないもんだな。

充は何も気付かない様子で話を続けた。


「確か…3人くらいにいやがらせって言うか…会長に取り入ろうとしてんじゃねぇみたいな事言われてたんだよ。

あ、あの3人だ。

こないだ朱莉を呼び出して逆に会長にシメられた3人」


「あぁ、あの3人…」


会長にシメられてから、あの3人はめっきり大人しくなった。

それまでは会長と少しでも仲のいい女子を見つければ、何かしら文句をつけていじめてたのに…

…ってゆうか、今まで止めたいじめの半分以上はあいつらだった気がする。


…よく無事に生きてこられたな、オレ。



「でも助けられたぐらいじゃ好きになったりしねぇだろ」


「どうかな。

乙女心はわかんねぇからなぁ」


バカにしてんだか、それともマジで言ってんだかわからない充に返事はしないで箸を進める。


1台だけ備え付けてあるテレビに目を向けながら、オレがカツ丼を食べていると、後ろから聞き覚えのある低く甘い声がした。



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