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「なぜだ？なぜ若者は死を選ぶ。たしかに生きる事はつらい、勉強もしなくちゃいけない。仕事もきつい。好きな事だけをして人生を送れない。
だがよ、楽しいこともある。彼女でも出きれば人生サイコーと思うはずだ。達と朝まで酒飲めば、二日酔いで自殺なんか考えていられねー。競馬で万馬券当てれば、幸せ至極な気分になる。人生は五分五分だ。辛いこともある楽しいこともある。辛いことをじっと我慢すれば日はまた上る。今の若者は何を悲観しているのだ……」

石井は自殺者の資料を見ながら一人つぶやく。

石井達はすべての資料を細分化してデータベースに入力する。

石井は京大情報学部を卒業して、国家試験一種に合格したキャリアだ。
キャリアと言っても警察学校を卒業して二年目だ。
学生時代にはロックグループのボーカルをしてたくらいに渋い声と風貌の持ち主だ。

「ネットで自殺サイトが乱立している。これを取り締まれ」と室長から言われ、三人で全国の自殺者をサーバーのデータベースにいれて、対策を立てている。