アバター
看護士
小林は由香のベッドの側で警護をしている。桜田はドアの近くで足を組んで座っている。
由香の母は仮眠を取るため休憩室に行っていない。
由香は落ち着いた顔でぐっすりと寝ている。

小林は時計を見た。午後9時を指している。もう消灯の時間だ。

「桜田さん、私、お手洗いに行きますので、由香さんお願いします」

「はい、いいですよ」

小林は、職員用の女性トイレに入った。

トイレは病棟の一番端にあり。すぐ横に看護士達が息を抜く休憩室がある。

二人の女子看護士が談笑しながらトイレで携帯を見ている。

小林はメールの確認でもしているのだろうとトイレを済ませ病室に戻った。病室の照明は薄暗くなっていた。
小林はゾクと寒気を感じた。
 
暫くしてトントンと部屋をノックする音が聞えた。

桜田が「どなたですか?」と訊いた。

「検温です」と看護士の声が聞こえ、部屋のドアを開けた。
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