キミのための声
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――
「おーっはよ、なかりさっ!」
教室に入るなり満面の笑みで
出迎えてくれたのは、陽。
相変わらずあたしの呼び方は
変わっていない。
「おはよ。」
「ん?なんだなんだ?
元気ないじゃあーん。」
わざとらしく顔を覗き込む陽を、
「普通だよっ!」と適当にかわして、
自分の席へ行く。
陽は不思議そうな顔で
首を傾げながら
あたしに着いて来るが、
その歩き方がかなり変。
「陽、どうしたの?
右足引きずってない?」
よく見ると、右足だけ
白い包帯が巻かれていた。
陽は左手を机について
ヒョイッと右足を少し上げ、
「昨日さー、部活で
やっちまったんだよ!」
苦い顔をして言った。
「え、骨折!?」
「んなワケねーだろっ!
折れてたらこんな軽く
歩けねーって!」
ははっ、と笑いながら
前の席に腰をかける。
「じゃあ、捻挫?」
「おーよ」
「部活出来ないよね…?」
陽の表情が少し
暗くなったのが分かった。
「ほんとダッセーよなー。」
「陽、ちょっと下手っぴだけど
サッカー大好きだもんね……」
「おいおいちょっと待て、
最初の方がよく聞こえなかったな」
「2回は言わないよー?」
「おいコラ!お前なあっ」
そんなくだらない会話をしていた時、
前の教室のドアが勢いよく開いた。
驚いて目をやると、
息を切らせた由香が居た。
「あ、由香―――」
「愛梨沙!大変だよっ!」
そう言って走ってこっちに
向かってくる由香に、
尋常じゃない空気を感じる。
「な、なに!?」
「いいから来て!」
グイッと手を引っ張られ、
あたしは思わず転びそうになる。
「え!?どうしたんだよ!?」
「アンタはいいっ!」
「ひでぇ!!」
由香の雑なあしらいに、陽は
今にも泣きそうな表情だった。
あたしは訳も分からず
由香に着いて行く。
「ねぇ由香っ……どうしたの!?」
「いいからこっち!!」
真っ青な顔をして走る由香に、
心臓が高鳴る。
な、なに……?