キミのための声
由香に腕を引かれていくうちに
昇降口まで来た。
「えっ、外!?」
「早く!!」
靴も履き替えずに
ただ学校を飛び出す。
広い校庭を抜け、
細い道を走って行く。
あたしがいつも歩く
駅への道とは反対方向で、
あまり分からない道だった。
進むうちに、何かの
音が聞こえてきた。
「―――っ!!――……!」
…………?
誰かの、声?
道を曲がったところには、
どこかの駐車場なのか、
広い面積に砂利が
敷き詰められていた。
その前で足を止めた由香に、
あたしも止まる。
そして唖然とした。
「………葵……くん……?」
そこには
うちの学校のすぐ近くにある
男子高の生徒らしき人が、
……5人。
そして、葵くんが
ただ1人。
息を飲んだ。
背中を、嫌な汗が伝った。
葵くんの周りに
苦しそうな呻き声を出しながら
うずくまる男子4人と
今まさに葵くんに
胸ぐらを掴まれている男子。
その男子の顔は、
もう痣だらけだった。
口元は切れて、血が出ている。
葵くんも
目の上や頬に痣があって
綺麗な肌には
微量の血が付いていた。
「……なん…なの……これ…」
声が小刻みに震える。
体までガタガタと震えてきた。
葵くんは冷血な瞳で
その男を見つめて
そのままその手で
男を投げるように手放した。
男は「ぐはっ…」という
呻き声とともに地面に叩き付けられ、
そのまま立ち上がらない。
葵くんは自分の周りに倒れる
5人の男を見下ろすと、
その中の1人の男を
右足で思いっきり蹴った。
男は泣いているのだろうか、
「うぅっ…」と情けない声を
出して、ただ倒れていた。
―――なんなの
あれは、なに?
こんなの
葵くんじゃ、ない―――……