夢ノ夢子のズルい罠

彼の経歴は中学にまで遡る――。


親戚が音響監督として携わっていたアニメのアフレコ現場に「たまたま」見学で訪れた時「その声いいねぇ――」と監督に言われるがまま、端役の声を演じたのが声優キャリアの始まりだった――。


女が身悶え、快楽中枢を刺激するアーバンドリームセクシャルヴォイスは業界内外で話題となり、今ではリョウジ指名し、リョウジの声ありきの原作さえ生み出される現状なのだ――。


がしかし「その声」がなければ、キモデブ全開の佇まい故、プロフィールの公開や顔出しはしないという条件で、リョウジは声優業を続けている――。


では、さっきのモブ子達の様に「キモイ」などと女性声優陣からも避けられ、嫌われているのか――。


全くの逆である――。


常に礼儀正しく、女性の機微を誰よりも素早く感知するリョウジは「リョウジくん――リョウちゃん」などと呼ばれ、親しまれ「可愛い」という評価まで頂いているのだ――。


同性も異性も、リョウジを悪く言う業界人はいない――。


うーむ、何というキモデブ救済の超御都合設定なのでしょう――。


でもこの物語において、この様な超設定はどんどん湧き出てくるので問題ナッシングッって事なのよっ――。




容姿が美しくとも、魂が虚無で闇に堕ちた人間は、存在するのだ――。


あなたの傍にも――。

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