キミとの距離は1センチ
『自分より背が高い女は論外』、なんて。そんなの、今初めて言われたわけじゃない。
学生時代の頃の方が、もっとずっと、身長のことでこんなふうに言われてきた。
だからわたしは、異性からそう言われることには慣れてしまってる、はずで。
……でも、なのに、今、胸が痛いのは。
どうして、なんだろう。
コツコツと、リノリウムの床を歩く音がする。
その音が、自分の方へ近付いて来ているんだとようやく気付いて顔を上げた刹那。
角の向こう側から現れた人物と、思いっきり目が合った。
「ッさくま……、」
しまった、と。
わかりやすく顔に書いてある伊瀬からすぐに視線を外して、わたしは踵を返す。
「おい……っ待てよ、佐久真!」
足早に廊下を歩く後ろから、伊瀬が追って来る。
それをわかっていて、わたしは決して振り返らない。
だけどすぐに追いついた伊瀬が、人気のない廊下の片隅で、わたしの右の二の腕を掴んだ。
「……放して」
あくまで視線は合わせないようにしながら、静かに言う。
ぐっと、わたしの腕を掴む伊瀬の手に、力がこもった。
学生時代の頃の方が、もっとずっと、身長のことでこんなふうに言われてきた。
だからわたしは、異性からそう言われることには慣れてしまってる、はずで。
……でも、なのに、今、胸が痛いのは。
どうして、なんだろう。
コツコツと、リノリウムの床を歩く音がする。
その音が、自分の方へ近付いて来ているんだとようやく気付いて顔を上げた刹那。
角の向こう側から現れた人物と、思いっきり目が合った。
「ッさくま……、」
しまった、と。
わかりやすく顔に書いてある伊瀬からすぐに視線を外して、わたしは踵を返す。
「おい……っ待てよ、佐久真!」
足早に廊下を歩く後ろから、伊瀬が追って来る。
それをわかっていて、わたしは決して振り返らない。
だけどすぐに追いついた伊瀬が、人気のない廊下の片隅で、わたしの右の二の腕を掴んだ。
「……放して」
あくまで視線は合わせないようにしながら、静かに言う。
ぐっと、わたしの腕を掴む伊瀬の手に、力がこもった。