キミとの距離は1センチ
どっと、まわりの男性陣が口々に声をあげた。



「ははっ、そりゃそーか。おまえら完全に、『ケンカ友達』って感じだもんなあ」

「つーか、あれは佐久真の方から食ってかかってんのか」

「そもそも若からしたら、自分より背ぇ高い女って論外じゃねーの?」

「伊瀬の女の好みって、どんなんよ?」



少しだけ思案しているような間の後、おもむろに、伊瀬が答える。



「……『守ってあげたくなるような女の子』、ですかね」

「うわー、まさにそんな感じだわおまえ」

「ちんまーりしてて、ふわふわーっとしてる子だろ?」

「守ってあげるにはまず、若が牛乳たくさん飲まないとな!」

「……いい加減うるさいですよ」



廊下の向こうで、まだ会話は続いている。

だけどもうそれ以上、男性社員たちの声がわたしの耳に届くことはなかった。



「……、」



ぎゅうっと、一際強く、胸元を握りしめる。

さっきからずっと、痛い。胸が痛い。

握りしめたこぶしのせいじゃなくて、もっと、奥の方。


……なに、これ。

もしかしてわたし、傷ついてんの?
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