キミとの距離は1センチ
「(……普通、なのは、確かだけど、)」



でも、『今まで悪かった』?

『もう、混乱させるようなことはしない』?


わたしは昨日、彼に告白されて。

どう返事をすべきか、自分の気持ちはどうなのか、散々悩んで。

今までわたしが伊瀬にしてきた態度を思い返して、申し訳なく思ったりもして。


──なのに、伊瀬は“普通”だ。

まるで昨日のことが、なかったみたいに。

わたしにした告白が、嘘だったみたいに。

……わたしのことなんか、すきじゃないみたいに。



「──ッ、」



ぎゅっと、キーボードの前に置いた両手のこぶしを、握りしめる。


もしかして、伊瀬は……ただの同期だったあの頃に、戻ろうとしているのだろうか。

からだを重ねてもいない、告白もしていない、あの頃に。


……でも、それはもう、無理だよ。

少なくとも、わたしは──……あんなふうに、想いを告げられて。なかったみたいになんて、できないよ。
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