キミとの距離は1センチ
「……さっき、さなえちゃんが伊瀬に告白してるところ、見ちゃった」

『えっ?!』



驚いたように、都が声をあげる。

わたしはさらにぎゅうっと、膝を抱えてからだを縮めた。



『さなえちゃん、ってあの子でしょ、マーケティング部のゆるふわモテガール』

「うん、そう」

『そうって……伊瀬くんは、なんて?』



訊ねられて、わたしは思い出す。

あの、やさしい響きを持った、声を。



「……『ありがとう』って、言ってたよ。だから、付き合うんじゃない?」

『……珠綺は、それでいいの?』



なんだか、質問されてばっかりだ。

ふ、とマイクが拾わないように注意して、わたしは短く息を吐いた。



「いいもなにも。伊瀬とわたしは、そんなんじゃないってば」

『………』

「そもそも、きっと何かの間違いだったんだよ。伊瀬がわたしのこと、すきだったなんて……」

『……珠綺、』

「あのふたり、お似合いなんだよ。伊瀬とさなえちゃんが恋人同士になるなら、わたしもうれしい──」
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