キミとの距離は1センチ
きょとん、と目をまたたかせると、見上げた先の宇野さんは、イタズラっぽく口角を上げる。



「一緒に出かけてても、普通に伊瀬くんの話してくるからさあ。お兄さん参っちゃったよ」

「……わたし、伊瀬の話なんてしてました?」

「してたしてた。マーケティング部にいる同期がすごいんですーって、得意げに」

「………」

「まあ、同じ部署に異動してからの方がよくあったけどねー」



そんなことを言われてしまって、思わず顔が熱くなる。

……異動してからの方が、ってことは、まだ別の部署だった頃から、話題にしたことあったのか。

うう、恥ずかしい……。



「だからね、伊瀬くんのことは恋愛対象で見てるんだろうなーって、なんとなく思ってたんだ。だからつい、伊瀬くんのこと挑発するようなことばかりしちゃったし……それに別れ話の後、俺のことは気にせずすぐ伊瀬くんの方に行けるように、『利用してた』なんて一応遠回しに言ったんだけど……」

「………」

「珠綺ちゃん、想像以上に鈍感だったね! あはは!」



ひ、ひどいです宇野さん……。

ていうかわたし、やっぱりその頃から伊瀬のこと、ちゃんと恋愛対象で見てたの?

自分のことなのに、全然わかんない……。
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