キミとの距離は1センチ
「あの頃のきみには、誰か寄りかかる存在が必要だと思った。そして俺は、そんなきみを甘やかそうと思った」

「………」

「でも、それは恋じゃない。……たぶん俺たちの関係は、きょうだいみたいなものだったんだと思う」



パチンと、頭の中で、何かが弾けたような気がした。

……きょうだいみたいな、存在?

宇野さんと、わたしが?



「俺は珠綺ちゃんよりもだいぶ背が高いし、席が近かったからよく話してたもんね。懐かれてるなー、とは思ってたけど、全然悪い気はしなかった」

「……わたし、ずっと、お兄ちゃんかお姉ちゃんが欲しくて……」

「ふふ、うん。最初は恋愛感情かもって、警戒してたけど。弟がひとりいて自分は長女だって話聞いてから、妙に納得したんだよね」



くすくす笑いながら、宇野さんがわたしの頭を撫でてくれた。

そのあたたかい手のぬくもりに、安心する。


……ああ、そうだ。

わたしはこの手に、いつも甘やかされていた。



「俺も、きみが好きだった。……妹みたいな、そんなきみが」

「う、宇野さん……」

「ふふふ。……そしてしょっちゅう、そんな妹の口から出てくる決まった男の名前に、実は密かにおもしろくないなーと思っていたわけです」

「え?」
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