キミとの距離は1センチ
「伊瀬!」
突然会話に割り込んできた聞き慣れた声に、ハッとして振り返る。
見るとオフィスのある方向から、佐久真が片手を挙げながら近付いてくるところで。
その手には、赤くて細長い財布が握られている。
「佐久真、」
「よっす。……さなえちゃん、まだ残ってたんだね。お疲れさま」
すでに帰宅したと思っていた木下さんがまだ社内に残っていたことを、意外に思ったのだろう。
そう声をかけた佐久真に、微笑みながら「……お疲れさまです、珠綺さん」と木下さんが返す。
そこで佐久真が、なんだかにやにや笑いを浮かべて俺の肩をつついてきた。
……キモチワルイんだけど。
「みんなのアイドルのさなえちゃんをひとり占めなんて、伊瀬も隅に置けないなあ」
「うるさいな。佐久真も休憩かよ」
「うん、自販機。で、伊瀬のこと、浅尾さんがあわてて探してたよ」
「あー……」
そういやさっき、見てもらいたい書類があるって言ってたな。待たずに休憩来ちまった。
紙コップの底に残っていたコーヒーを飲み干して、くしゃりと握り潰す。
突然会話に割り込んできた聞き慣れた声に、ハッとして振り返る。
見るとオフィスのある方向から、佐久真が片手を挙げながら近付いてくるところで。
その手には、赤くて細長い財布が握られている。
「佐久真、」
「よっす。……さなえちゃん、まだ残ってたんだね。お疲れさま」
すでに帰宅したと思っていた木下さんがまだ社内に残っていたことを、意外に思ったのだろう。
そう声をかけた佐久真に、微笑みながら「……お疲れさまです、珠綺さん」と木下さんが返す。
そこで佐久真が、なんだかにやにや笑いを浮かべて俺の肩をつついてきた。
……キモチワルイんだけど。
「みんなのアイドルのさなえちゃんをひとり占めなんて、伊瀬も隅に置けないなあ」
「うるさいな。佐久真も休憩かよ」
「うん、自販機。で、伊瀬のこと、浅尾さんがあわてて探してたよ」
「あー……」
そういやさっき、見てもらいたい書類があるって言ってたな。待たずに休憩来ちまった。
紙コップの底に残っていたコーヒーを飲み干して、くしゃりと握り潰す。