キミとの距離は1センチ
思わず、足を止めてしまう。

同じように、伊瀬もその場に立ち止まった。



「──、」



わたしたちは、背の高さがあまり変わらないから。

だからこうして並んで立つと、必然的に、顔が近くなる。


……どくん。

心臓が、大きく鳴って。わたしはなぜか焦りあながら、彼に添えた手を引っ込めようとした。

だけどそれを、自分よりももっと大きな手に、阻まれる。



「……どこ?」



しっかりと手を握られながら訊ねられて、息が詰まった。

伊瀬はそのまま、先ほどわたしがしたように少しだけ首を傾けて……わたしの顔を、覗き込んでくる。



「こ、ここ……」



伸ばした右手は掴まれたまま、指先で伊瀬のくちびるの、左下あたりに触れた。

彼は視線だけを動かして、わたしが触れている位置を確認すると。パッと、掴んでいた手を放す。
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