キミとの距離は1センチ
「ところで珠綺ちゃんと木下さんは、泳げる人なの? 伊瀬くんが上手いのはわかったけど」



ジャグジープールでひと休みしているとき、宇野さんが思いついたように口を開いた。

先に答えたのは、さっきのショックからすっかり回復したらしいさなえちゃんだ。



「一応、25メートルは泳げます、けど……クロールしか、できません」

「さなえちゃん、すごいよ。わたしなんて息継ぎすらできないよ」

「佐久真、よく今日ここに来ようと思ったな」



わたしたちの会話を聞いていた宇野さんが、ぽんとひとつ手を叩く。



「よし。そういうことなら、今日は俺と伊瀬くんでふたりに特訓をつけてあげよう」

「え」

「え」

「え」



わたし、伊瀬、さなえちゃん3人の声が、見事にハモった。

やっぱり宇野さんは、さわやか~な笑みを浮かべる。



「人生、何があるかわからないし。泳げて損なことはないと思うよ」

「それはまあ、そうでしょうけど……」

「えっと……じゃあ、お願いする?」

「は、はい……」



こくん、とうなずいたさなえちゃんを満足げに見て、宇野さんがどこかを指さした。
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