キミとの距離は1センチ
見るとそこには、明らかに遊ぶ用ではない、細長のプールがある。



「あそこ、ちょっと本気で泳ぎたい人向けの25メートルプールなんだよ。今なら空いてるし、あそこでやろうか」

「……わかりました。じゃあ、俺が木下さんで、宇野さんは佐久真を見るってことでいいですね」

「あ、ごめんそれパス」

「え」

「え」

「え」



再び、わたし、伊瀬、さなえちゃんの声がハモる。

あくまでさわやかに、かつお茶目に、宇野さんが首をかしげた。



「俺さ、初心者教えるの苦手なんだよね。ある程度できる人を伸ばす方が得意っていうか」

「え、それってつまり……」

「水泳レッスンのペアは、俺と木下さん、伊瀬くんと珠綺ちゃんね。それじゃあ行こうか~」

「………」



3人分の無言をしり目に、さっさとジャグジーを出る宇野さん。

今日も絶好調です、ブルバ本社の王子様。
< 86 / 243 >

この作品をシェア

pagetop