《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼
「は…?」
さすがのラスクも口を開けた。
「だありん!あれは鳥――仲間、同類なんだよ!?手を出すなんてさいってー!みんな(鳥)に言ってやる、だありんは鳥に手を出す最低鬼畜野郎だって!」
「ちが…朱祢たん!あれはいろんなひとに迷惑をかけた怖い怖い奴で、俺らはあれを倒さなくちゃいけねぇんだ、わかる?」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ出す我が妻を諭すように説得する。
それにしても、朱祢たん、だありんと呼びあうとは、とんだバカップルである。
「お姉さん…いや、朱祢ちゃん。俺は鳥じゃないよ」
にっこりと美しく笑う。
「ねぇ朱祢ちゃん。俺は吸血獣だから、また君の体液が欲しいな」
猛禽類のような翼をはためかせながら、にこにこと近づいてくる。
体液の言葉に顔を真っ赤にそめた朱祢は、ビクッと肩をあげてから旦那の後ろに隠れる。
「ぃや…あの、あれはぁ…流れってゆーか、術みたいなもんなんだろ?世間的にはノーカウントじゃないかなー、なんて」
「朱祢?なに…?体液あげたの?」
「ひぃっ」
目の前の旦那が殺気丸だしなのを見て、可哀想に完全に縮こまってしまった。