《キャラバト》白衣の保険医と黒い翼
「彼は、朱祢を魔眼で惹き付け、今味方をさせておるやもしれんのじゃ」
無理な話ではなかった。
実際、魔眼とはラスクが自覚せずとも出る場合もある。
このときラスクは出してはいなかったが、可能性はゼロではないのだ。
「それに、黒庵を叱るのは可笑しい」
キ、と朱祢を睨む。
「黒庵は、彼は――朱祢を取られたのが悔しくて戦っておるのじゃ。応援してやれ、愛してるなら」
「っ、」
仲間は見捨てたくない。
が、旦那はもっと見捨てたくない。
唇をグッと噛んで、朱祢は結論を出す。
「……」
迷っているようだった。
もちろん鳥は愛している。
見捨てたくない、長として、仲間として――
と。
【ミカエル】
魔力で治す間もないラスクに襲い掛かる黒庵。
その攻撃を負傷してない方の肩に鎌を乗っけたラスクは、迎える。
詠唱を唱えて。
「なっ…」
当然、当たった剣の部分は赤黒く変色。
ドロリとマグマのようにとけだした。